オット、会社やめていいよ。

その後無職のまま現在に至る

相続人の中に認知症の人はいませんか?

こんにちは、粒です。

遺言書のテーマを書き始めて8日目、最近ずっと遺言、死について考えています。

今までも、 について考えることは、自分の中にずっとあって、特別なことではありませんでした。身近に死があったわけではないのですが、いずれ訪れる自分の終わりというものにどう向かっていくのかというのは私の中でいつもテーマとして存在していたように思います。またさらに、晩婚での高齢出産を経て、自分がいなくなった後に残される自分の一人娘のことを考える責任があるのだと、出産時から常に心にとどめるようにしていました。

ただ、自分の考える自分の死と、人の、特に身内の死というものを考えることとの間にはものすごく言いようのない距離があります。

自分の死については考えたり話したりすることができるけど、自分以外の人の死については口に出すことも考えることすらも憚られる。考えることは失礼なような、罰当たりのような気になる。

でも、調べれば調べるほど、遺言の大切さを感じ、それを必要な人に伝えたい思いと、その前に立ちはだかる縛られた思い。

割り切るのか、落としどころを見つけるのか、突き抜けるのかあきらめるのか、私の中の戦いがまだまだ続いていきそうです。

そして、私に最も身近な、緊急の課題であるのが今日のテーマです。

 

遺言書が必要なケース その7 

認知症はとっても身近なこと

私の母は認知症です。

「親の手を握る赤ちゃんの手」の写真 

まだ母と同居していた10年ほど前から物忘れがひどく、同じことを1日に何度も質問するなどすでに症状は出始めており、本人も気にしてイチョウ葉エキスなど認知症にいいらしいと聞いたものを毎日飲んでいたように記憶しています。

その後結婚して私は他県に住むようになったのですが、帰省するたびにその症状の悪化がじわりじわりと進んでいることを感じ、最近は服の着替え方がわからなくなったり、夕方すぎると私の存在自体が分からなくなってしまいます。

孫のことは忘れることがないのに、不思議なものですね。

 

認知症はますます身近なものになり、厚生労働省の試算では、2025年には認知症の人が65歳以上の約20%に達するという数字も。

高齢化社会の中、相続人の中に認知症者がいるケースは私の場合も含め普通に考えられます。

相続人に認知症者がいる場合の相続手続き

認知症の人は意思能力や判断力が低下しているとみなされるため、不利益を被らないように、相続人として遺産分割協議に参加することができません。もちろんその人を外しての遺産分割協議も無効です。

 

相続人の中に認知症の人がいる場合は、成年後見制度 を利用することになります。

成年後見制度

本人に意思能力は判断力があるうちは、本人が望む人と後見人契約をする 任意後見制度 を結ぶことができます。

が、すでに意思能力や判断力が低下している場合は、家庭裁判所に申し立てをし、後見人を選定してもらう 法定後見制度 を利用することとなります。

そして、選任された後見人が本人に代わって遺産分割協議に参加して署名押印することとなります。

きちんと理解しないといけないのが
  1. まず、後見人の申し立て、選任のために書類をそろえる必要があり、手続きにも時間がかかること
  2. 親族を後見人としていた場合、その親族もまた相続人にあたるとき、または利害が対立するとみなされるとき、さらに特別代理人の選任が必要になることも
  3. 弁護士などの専門職が後見人として家庭裁判所に選任された場合、月額〇万円といった報酬が発生します
  4. さらに遺産分割協議が無事に終了しても、後見人契約は原則として本人が亡くなるまでずっと続きます

申し立ての書類を揃え手続きするにも時間がかかります相続後のこともよく検討する必要もありますので、相続が始まってから慌てて手続きを行うのはあらゆる面で不安が残ります。

では、相続人の中に認知症の人がいるときの対策は

  1. 遺言書を作成する

遺言書で相続人や財産分配を指定することで、現実に即した分割をスムーズに行うことができます。この時、遺言書に 遺言執行者 を指定しておくことが重要。遺言執行者れば、認知症の相続人の関与なく相続手続きを完了することができます。

 2.後見制度の利用

相続がおこってからでは手続きに時間がかかり、他の手続きと共にあわただしく行わなくてはならなくなりますので、相続手続きをスムーズに行うためにも予め後見制度を検討しておくことが大切です。
 3.家族信託の利用

家族信託とは財産の所有者が親族など信頼できる人を受託者として財産の管理や処分を任せる契約のことです。

最近とても注目され、パンフレットなどよく目につきますね。

 

そしてもう一つ大切なこと

遺言できる人 には2つの条件があります。

  15歳に達した者(民法961条)
   かつ
  遺言能力のある者(民法963条)

遺言能力とは意思能力すなわち遺言の内容及びその法律効果を理解判断するのに必要な能力。とされています。

認知症の程度によって、あるいは遺言能力があると認められる場合もあるかもしれませんが、認められない場合、その遺言は無効です。

つまり、遺言書は認知症になる前に残す必要があります。

 

認知症になることは避けては通れない問題なのかもしれません。

いつなるかわからない、だから、今、自分の財産のことも大切な家族の未来もしっかりと考えられる今のうちに、今できること。遺言書について考えてみてはいかがでしょうか。

 

今日もお読みいただきありがとうございました。